緑と青
初夏の加波島は美しかった。そこに疑いの余地はなかった。緑と青がその全体を成している島。活気溢れる美しい女性がいるとするならきっとそのような姿をしているだろうと、私は思った。ゆっくり歩きたい畑の道には刈ったばかりの草のような香りがした。印象深い風光にしきりにシャッターを押したが、ある瞬間にはカメラから手を放した。写真が記憶を保存してくれるというが、それもやはり心に入れてからあり得ることだから。
加波小学校
時間が経つにつれ自然に「このような場所に住んでいる人々はどんな人だろう」と考えるようになっていた。毎日、ここで朝を迎えることができたらそれはきっと素敵なことだろう。村の奥に歩いてみたら低い塀の後ろに小学校が見えた。5本のヤシの木とちんまりとしたトルハルバンがここが済州(チェジュ)であることを裏付けていた。世の中これほど純粋さが感じられる場所が存在していることに驚き、それにも拘らず毎年減る入学生に入学式もない始業式があったという事実が気になった。