神秘の火口の中には、銀色に染まった年輪のススキ群落が住んでいる。人生の黄昏期に入ったススキは、吹いてくる風にも柔順である。時には無言のまま頭下げることが、素晴らしく見えるときもある、ということを知らせたいのか、ススキ群落はなぜか何も言わない。
済州の言葉で「アクン」とは、「小さい」を意味する。名前に相応しい素朴なアクンタランシオルムは、比高が58mに過ぎず、子供、大人を問わず、軽く登ることができる。至る所に敷かれたススキの茎の間からザクザクと音がする。人の背ほどに遥かに伸びたススキ林の間に、こっそり顔を出す太陽の光が透き通る。頂上に達すると、ひとりぼっちの一本の木が立っている。木の隣に立って銀色の波を見ていると、心の封印が解除されるようだ。なかなか感情を書き記さない人も、仕方なくこの風景の前では心が溢れそうになる。そう、ここでは、誰でも詩人になる。