チェジュの人々は昔から柿汁の染み込んだ「カルオッ」を着てきた。カルオッは風通しが良く、汗の吸収に優れているため、高温多湿なチェジュの気候をしのぐのに最適なだけでなく、丈夫であるためチェジュ庶民はカルオッを作業服かつ普段着として着た。カルオッはチェジュの方言で「カルチュンイ」とも言い、三代に渡りカルオッを作っているブランド-カルチュンイは、この名前をそのまま引用しブランド名とした。「カルオッはチェジュを代表する文化遺産として、全国、さらには全世界へチェジュを表現し紹介できる服じゃないですか。我々のカルチュンイも全世界にチェジュを知らせる事のできるブランドになりたいです」
カルチュンイはチェジュ島民であれば誰でも気軽に着てきたカルオッを創造的に開発し、ブランド化した企業だ。チョ・スンエ代表は代々受け継がれてきたカルオッの家業を継ぎ、商品を開発し改良してきた。姑の姑の時代からカルオッを作りオイル場へ売った。その柿染めの技術の伝統をチョ・スンエ代表が受け継いだ。1997年、空港に商品を納品するようになり、ブランド-カルチュンイを設立し、生地や帽子、バッグ等の観光商品を生産した。「以前は生地を作り納品をしていたが、生地の需要が減り納品が止まったため、商品開発をすることになったのです」
カルオッを作る他社と差別化を図るためにも商品開発は必須だった。カルチュンイはカルオッやバッグ、帽子だけでなく、アウトドア商品、寝具類、民族人形等の様々な商品を開発した。そして、その長い努力の結果、2005年にサンバン山の麓に店を持った。2009年には韓・ASEAN特別首脳会議11カ国首脳への記念品として選ばれ、全国観光記念品公募展にてチェジュ馬の尾を利用した観光記念商品として国務総理賞を受賞した。以前は染色をするスペースがなく、飛行場や空き地など広い場所を探して回ったが、シンドリに農場を造成し、5000坪規模の染色場も設けた。絶え間ない商品開発努力と優秀性が認められ、2013年にはチェジュのフランチャイズ加盟本部として選ばれた。
「最初は帽子のような観光商品を多く生産しました。ですが、現在はそのような商品は競争力がないじゃないですか。生産者も増えてきましたし。よって、我々は服で差別化を図ろうと戦略をたてました。服は小物に比べ、技術力も必要で、消費者のサイズも異なるため難しいが、我々だけのノウハウとデザイン能力、他には無い染色技法、独自の生産技術があるため自信があります。」カルチュンイは昨年9月、仁寺洞支店をオープンし、現在オンラインショッピングモールのオープンを控えている。これまでも服を生産してきたが、基本的な服のみ販売していたのに対し、これからは本格的に衣料事業に挑戦する。カルチュンイにとって、服はこれから十数年の間カルチュンイを引っ張っていく原動力であり、布石だ。カルチュンイは衣料事業をターニングポイントとして、チェジュの商品を世界的な商品とするのが夢である。